ミライ企業の方々には、ここしばらく毎年お世話になっています。関西大学商学部の横山ゼミにおける初年次教育においてご登壇いただきリアルな経営のお話をしていただいたり、2年生ゼミで産学連携PBL(project based learning)を組ませていただいたりと、そのたび、毎回、学生たちも私もワクワクしています。そういった私が出会ってきたミライ企業の方々を思い出しながら、ミライ企業が目指す3つの力(「社会的理念力」「自律協働型組織力」「持続的革新力」)と、それらを束ねる「良心」の構図を眺めていると、いろいろな素朴な仮説が頭にぽんぽんと浮かんできます。今回はその一部を披露させていただきましょう。

<素朴な仮説その1>
「ミライ企業の社長と社員は、平均よりも好奇心旺盛なのでは?」

ミライ企業の社長さんは皆さん、目をキラキラさせて講演してくださいます。そして、常に学ぼうという姿勢を持ち、学生たちからいろいろなことを吸収しようとしています。フットワーク軽く大学に遊びにきてくれます。そんな社長さんの好奇心旺盛な姿勢は、社員さんにも伝搬しているようで、社員さんの講演もとても興味深いのです。

<素朴な仮説その2>
「ミライ企業の従業員のウェルビーイング(働き甲斐を含めた幸福度)は高いのでは?」

ウェルビーイングとは、心身と社会的な健康を意味する概念であり、素朴に幸福と訳すこともできます。昨今、ウェルビーイングという視点が経営学や組織論の領域にもなだれ込んできています。とても良い風潮です。資本主義全体にも流れ込んでほしいところです。人間らしさを尊重して、ケアが行き届いた、かつピリッとやる気に満ちた職場とそこにいる従業員一人ひとりがイキイキと幸せに働いている状況をつくることが、まわりまわって生産性や創造性を高めて経済的成果にもつながっていく。ミライ企業は、そんなウェルビーイング志向と合致した組織なのではないかと最近思っているのです。

これらの仮説を横山ゼミで検証したい気持ちでウズウズしている一方で、ミライ企業の皆さまがこれらの仮説を信じて行動し続けてくれれば、ミライ企業はますます未来に輝く存在になるのではないでしょうか。そして、そのような姿はこれからの社会を担う若者たちに、働くこと、生きることへの多くの示唆を与えてくれます。ミライ企業の皆さま、これからも大学に来て学生と大いに対話してください。そして、一緒にウェルビーイングに満ちた社会をつくっていきましょう!

Writer

関西大学 商学部 教授

横山 恵子先生

関西大学商学部教授。一般社団法人そばくりラボ代表理事。北海道大学大学院経済学研究科修了。博士(経営学)。ソーシャル・アントレプレナーシップと協働を中核テーマに研究・教育活動を行っている。編著書に『企業の社会戦略とNPO』(2003年),『エシカル・アントレプレナーシップ』(2018年),『日本のコレクティブ・インパクト』(2022年)等がある。

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