自分で考え、動く。その経験が社会で生きる力になる ~「働く」を考える つばさ社会保険労務士事務所 植田 健一さん

大阪市にある、つばさ社会保険労務士事務所 代表の植田 健一です。社会保険・労働保険制度を適切に活用して働きやすい場を作ることに取り組み、人事労務についての経営者の相談相手の役割も担っています。

組織の中では部署ごとに仕事の進め方がありますが、お互いに連携をし、手を取り合ったほうが高いパフォーマンスを発揮できるはず。そうした「見えない部分の調整」を円滑に進めていきたいという思いが、社会保険労務士という仕事の根底にあります。

この裏方でのサポート役を選んだ背景には、学生時代の経験がつながっているように感じます。まずは、私の学生時代の様子からお話ししたいと思います。

すべての経験が今に生きる。営業職から社会保険労務士へキャリアチェンジ

学生の頃に経験したさまざまなアルバイトの中でも一番長く続けたのが、ホテルの宴会場での照明や音響機器を扱う仕事です。晴れの場の裏方として、少人数のチームを組んで現場を担当しました。社員の方と接することで社会性を育む機会となり、進行表に沿って全体像を見ながら「次に何をすべきか」を考えて動いた経験は、今の仕事にも通じていると感じます。

私の就職活動は、ちょうどバブル崩壊直後と重なりました。人事労務の仕事を希望していましたが、雇用環境は非常に厳しく、入社したハウスメーカーでは営業職に就きました。

しばらくすると、設計部門や銀行との調整を担う部署に異動になり、住宅ローンの手続きや進捗を管理するなどのサポート業務を担当するようになります。そこで、現場のプレイヤーが能力を発揮できるように裏方で支えることの重要性を感じました。「やはり人事労務の分野で生きていきたい」とキャリアチェンジを決意する大きな転機となりました。

人事労務に関わる専門職として「社会保険労務士」という資格があることを知り、27歳頃に思い切って会社を退職しました。アルバイトをしながら1年半ほど勉強に励み、社会保険労務士試験に合格。その後、合同事務所を立ち上げるという話をいただき、メンバーとなって新たなキャリアをスタートさせました。

山中さんとの偶然の出会いから始まったミライ企業プロジェクトへの参画

2000年に社会保険労務士として開業する際に、大阪市が開催する「創業セミナー」を受講していました。初回のセミナーでたまたま隣に座ったのが、NPO法人日本起業家教育協会(現 NPO法人JAE)を創立し、ミラプロの設立にも携わった山中 昌幸さんだったんです。

受講当時の大阪市の経営相談室には、同世代の起業家たちが集まっていました。本田 ポンタ 勝裕さん(ミラプロ運営メンバー)ともセミナーやネットワークを通じて接点を持ちました。この縁から、「社会保険の整備を進めたい」という話になった時に、「そうだ、植田さんにお願いしよう」とお声かけいただいたわけです。

私がミラプロのお手伝いをするようになった時期は、新卒でいきなりNPOに入職するメンバーが出始めた頃でした。「自分より10歳以上も年下の人たちは、一般企業に勤めずNPOで働く選択肢を選んでいる。彼らがどういう考えで動いているのか、実体験として感じてみたい」。そんな若い世代の価値観への関心が芽生え、仕事とは関係なくNPOのメンバーの合宿に参加することもありました。

プラスアルファのコミュニケーションの大切さ

私の役割は、社会保険労務士としての専門知識を提供することです。同時に、一歩踏み込んで相手の立場に立つことや、プラスアルファの助言を添えてコミュニケーションを取ることも大切にしています。

制度の内容や意味の見える化は難しいため、社内で誤解やズレが生じないよう対応方法をアドバイスする必要性を感じています。制度に対して社長がどのように考えているのか、担当者がどう捉えているのか、時間をかけて把握し、提案することが重要です。

双方が同じ方向を向いてパートナーシップを築いていくために

会社側と社員が、お互いの都合を押し付け合う「労使対立」を極力避け、人と人として同じ方向を向いてともに歩むパートナーシップを築くお手伝いをしたいと考えています。たとえば、会社の置かれている状況を社員に伝えるときには、社長の考える会社の明るいビジョンも伝わる形にするといったフォローや支援の大切さを感じています。

社員が会社の方向性にコミットし、スムーズなコミュニケーションが取れれば、働きやすい環境に変わっていきます。社員一人ひとりの成長と能力の向上は、会社の発展につながります。双方にとってより良い関係を築けるよう、お役に立てれば嬉しいです。

社会の即戦力として光る。試行錯誤して得た経験の価値

ミラプロの学生スタッフを見ていると、マニュアルがなくても「自分で考えてプランを立て、実行する」という非常に難しいことをやっています。一般的なアルバイトであれば「この作業をやって」と指示された業務をこなすだけかもしれませんが、ミラプロは真逆です。

私自身、いざ社会に出たときに、マニュアル化された業務以外の部分が多いと気づかされました。時には、自分たちでマニュアルを作らなければならない状況もあります。今の時代は、新卒でも即戦力が求められます。1からゴールに向けて段取りを立て、失敗もしながらプロジェクトを進めたミラプロでの経験は、どんな仕事にも通じる非常に貴重な経験になります。

また、ミラプロでは、さまざまな企業との接点が生まれます。経営者から直接聞く失敗談や苦労を重ねた話は、人間としての学びになります。社長の人間としての側面に触れ、「自分たちと同じように悩み、努力してきた人なんだ」と遠くに感じていた存在が近くに感じられるかもしれません。ミラプロでの経験は、将来のキャリア選択の深みにつながるはずです。

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ミライ企業プロジェクト事務局

ミライ企業プロジェクト(略して「ミラプロ」)とは、若者と中小企業のミライが共に広がるプラットフォームを創るプロジェクトです。

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