住まいづくりは想いづくり
――事業の目的は?
自然素材を使った住まいづくりを通して、お客様が幸せに暮らせる空間をつくることです。当社では、2008年より、心身ともに健やかで快適な住宅をご提案してきました。
2012年からは循環型社会の一翼を担うべく、「環境循環型住宅」というコンセプトにもとづいた住まいをつくってきましたが、安全で落ち着く空間で暮らすことがお客様とご家族の幸せにつながると信じる気持ちは一貫しています。私たちのコアなお客様の中には、化学物質や電磁波に悩んでいて、助けを求められている方も多いので、お役に立てたときは大きな喜びがあります。
2016年、スタッフ一人ひとりと話し合った末に、私たちの経営理念「住まいづくりは想いづくり」は生まれました。家を建てることは、ただ生活する場所をつくることではありません。設計士、職人といった作り手が確かな提案と技術でお客様の想いを形にする必要があります。メンテナンスをしながら何十年と住み継いでいく家とともに、お客様とは一生のお付き合いをしていくつもりです。
2020年には、環境問題解決の第一人者として知られるスウェーデン出身の環境コンサルタントと出会い、自然素材を使うことは環境負荷の低減や気候変動問題の解決にも直結することを教わりました。自然素材でつくった家は住むだけでエコになるという意味で、脱炭素社会の実現にも貢献できると思います。
お客様と「一緒につくる」
――目的を果たすための方法は?
「ワンチーム」でなければ、お客様の求める家をつくれません。更地から家を建てる場合、基礎工事業者や大工に始まり、30もの協力業者が関わります。そういった協力業者にお客様の意向や要望を正確に伝えていくために、想いの共有は欠かせません。
私たちが大切にしているのは、お客様と「一緒につくる」こと。お客様の理想を具現化するのはもちろん、お客様に漆喰塗りなどの施工に参加していただいたりするのは、住まいにより一層の愛着を持っていただきたいからです。そういった関係性の礎となるコミュニケーション能力を磨くための取り組みとして、1ヶ月に一度、理念について考え、自分の行動を省みるために、日報に理念の体現度を振り返る項目を設けています。相手の立場に立てているのか、独りよがりになっていないか……。自分の胸に問いかけながら、理念の浸透を図っています。
「第二創業期」と位置づけている今は、足場を固めるためにも、新しい人材の採用や育成に注力しています。外部の方にファシリテーションをしてもらいながら、私たちの強みや共通の価値観を定義したコンピテンシー(行動特性)を作成中です。
脱炭素社会の実現に貢献
――実現したいミライは?
将来的には北欧のような大規模な「エコビレッジ」を日本にもつくりたいと思っています。巨大な敷地の中に自然に囲まれた住宅が立ち並んでいて、家の窓を開けると川のせせらぎが聞こえてくる。環境に対する意識の高い人たちが集まり、自然と仲良くなるコミュニティが形成されていて、各自が主体的に住みよい環境を維持しようとする……。そんな夢物語のようなビジョンを実現させたいと本気で思っています。
その一歩として、「呼吸する家」「快眠できる家」をうたった環境循環型住宅を建てるために、一昨年東大阪で土地を取得しました。1階は一般的な住空間ですが、2階には僕らの想いを詰め込んだ「健康や環境に配慮した住空間」を実現するつもりです。
今年は、自社で土地や不動産を購入し、新築一戸建てを建てたり、中古マンションをリノベーションしたりする計画を立てています。ほとんど煙が出ないペレットストーブ、なるべく電力を使わずに済む採光や通気性のよい設計、新聞紙を再利用した断熱材セルロースファイバー……。そういった工夫により、都会でも環境に配慮した家づくりができるとアピールしていきたいですね。
地球温暖化問題が深刻さを増し、「2030年には地球2個分の資源がなければ人類の暮らしを支えられなくなる」と言われている今、地球1個分で暮らせる持続可能な社会を実現するために、環境循環型の家は強く求められています。今年、私たちの会社も、電力の調達元を自然エネルギー100%の電力会社(ハチドリ電力)にシフトしました。「売上の1%を社会に寄付する」という同社の姿勢にも共感しましたし、純粋に応援したくなったのです。2020年10月に当時の菅首相が「2050年のカーボンニュートラル実現」を宣言したことは明るい材料だと思うので、私たちも住宅分野から脱炭素社会に貢献したいと考えています。
非常に誠実なお人柄で経営者仲間からの信頼も厚く、社員さんの幸せを願っていつも真摯に学ばれている加藤さんを尊敬しています。住まいづくりに関しては自然素材へのこだわりが強く、誠心誠意お客様に寄り添って施工されています。社員さんも勉強熱心でSDGsにも積極的に取り組まれているところも魅力です。
ハッピーアースデイ大阪で開催されたイベントは、ミミズのコンポストを使った寄せ植え作りや、廃材を利用したDIYワークショップを通して、子どもたちと一緒に循環型社会について真剣に考える姿勢が伝わってきました。「SDGs」という言葉が生まれるはるか前から地球のことを考え、実践されている加藤さんの想いは本物だと思います。