納得いく人生を歩めるように、良き出会いを提供する

〈CH 〉
代表

佐々木 研さん

顧問企業に経営コンサルティング的なサービスを提供する他、企業の研修や大学生向けキャリア講座などの講師も務める「CH」代表の佐々木研さん。その傍ら、ミライ企業プロジェクトにも立ち上げ時から主要メンバーとして携わっている。チャンスメーカーという肩書を引っさげ、「明確な軸を持って納得いく人生を歩む人を一人でも増やしたい」と語る佐々木さんの目指すミライについて聞いた。

◆ 人との出会いが鍵になる

――事業の目的は? 

相手が企業の経営者であれ、社員であれ、大学生であれ、共通しているのは、できる限り多くの選択肢を提案することです。価値観が多様化した今、もはや正解は一つではありません。VUCAの(不確実性が高く将来の予測が困難な)時代を生き抜くためには、凝り固まらず、前例にとらわれない自由な発想や自分(たち)が信じる道を進む胆力が欠かせないと思います。

大学生を例にあげると、たとえ本人が魅力的な中小企業に就職したいと思っていても、親の反対に遭って諦めてしまうケースは少なくありません。給料が高いから、休日が多いから、ネームバリューがあって安定していそうだから……という条件面で会社を選んだ結果、仕事に喜びややりがいを見出せずに自身の選択を後悔する人がいることは、「入社3年以内の離職率30%」という数字にも反映されてると思います。

人が短期間で離職する主な理由は、人間関係がうまくいかない、こんな仕事をさせられると思わなかったなどというネガティブなものです。前職の印刷会社に勤めていた頃、その問題を解決すべく、企業の経営理念や社員の過ごし方を取り上げたフリーペーパーを発行し、求職者と社長、社員が交流する機会をつくったことが、ミラプロの出発点。人と出会う機会が多ければ多いほど、より大切な人や考え方と出会うチャンスは増えるはず。そう思って、人と人をつなぐハブの役割を担ってきました。

僕が一番大切にしている考え方は、「何をするかではなく誰とするかが大事だ」というものです。僕自身、この人と一緒に、この人のためにと思える相手としか仕事をしません。なぜ僕が「人」に重きを置いているのか? それは誰と出会うかによって人生は大きく左右されるという実体験があるからです。

大学卒業後、僕は古着屋からファッション系の専門スクールに転職しました。当初はそれほどその会社に入りたいと思っていなかったのですが、面接を担当した常務が「お前の生き方はおもしろいからうちに入ればいい」と僕を評価し、引っ張りあげてくれたことで、僕の人生は大きく好転したのです。

◆ 価値観を耕す場を提供する

――目的を果たすための方法は?

たとえば大学のキャリア講座やミラプロ主催の講座で、多種多様な大人の価値観や考え方に触れる場を提供しています。もし誰かに反対されたとしても、情報や経験値があれば、相手を説得し、自分の意志を貫くことができるかもしれないからです。

ミラプロの授業で紹介するミライ企業は、あくまでも選択肢の一つにすぎません。「若者の働く価値観を耕すこと」をミラプロのコンセプトに掲げているように、何を大事に生きていきたいのか、自分なりに深掘りするきっかけにしてもらえばと思っています。

企業経営者向けのコンサルティング的なサービスにしても根は同じです。たとえば「人を大切にする会社であるために、障害者雇用に力を入れていきたい」というビジョンを抱く経営者に対して、僕が答えを提示するのではなく、具体的な事例を紹介したり、実際にその会社にお連れしたりと、判断材料を提供することで、より明確な軸を持っていただければと願っています。

◆ 悔いのない人生を歩んでほしい

――実現したいミライは?

今関わっている大学生やこれから大学生になる世代が早く社会人になりたい、あんな大人のように生きたいというポジティブなマインドで生きられる環境をつくりたいと思っています。その目的を実現するための手段は、時代に合わせて変えていけばいい。

だから今、具体的に描いているビジョンはありません。独立するまでは自分が大学で教えている未来なんて想像していなかったように、これから経験する人との出会いによって、未来はいかようにも変わっていくものだと思います。
そもそも僕の原点は、大学4年生の夏に父親が用意した就職先を蹴って自分で進路を決めたことです。それまではどちらかというと、親の顔色を伺いながら自身の方向性を決めてきた僕にとって、そこで自分の心に従ったことはひとつの大きなターニングポイントだったように思います。そういう選択をしたことを今、心底納得しているからこそ、僕と関わった人たちには悔いのない人生を歩んでほしいと思っています。

*学生とともに実現したいこと

自分たちが主体となって何かを企画している学生を、僕が後ろからサポートするという形がとれるなら、やることは何でもいいと思っています。

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