周りの人を大切に、歯科の言語聴覚士として働く

〈医療法人社団わく歯科医院 〉

荻野 愛美さん

歯科で働く言語聴覚士は増えているが、荻野愛美さんがわく歯科に入った頃は珍しい存在だったそうだ。学んできた内容とは異なる業界へ飛び込んだがゆえの葛藤を抱えながらも、歯科で働く言語聴覚士として、そして荻野さん自身の働き方を確立していった経過を聞いた。

歯科の言語聴覚士として健康を提案

言語聴覚士の知識を活かしながら、歯科矯正に携わっています。「マイオブレース」と筋機能トレーニングで、子どもの「口がぽかんと開いている・舌をうまく使えていない」といったクセや口腔機能を整えます。それらが改善すると、歯並びも健康状態も良くなります。誤嚥性肺炎のリスクがある高齢者には、誤嚥を予防するための口腔機能のトレーニングを提案します。

また先生の隣について歯科助手も兼任し、数年前からは教育担当になりました。わく歯科の言語聴覚士は私一人ですが、資格を持っていなくてもできる歯科矯正のトレーニング方法や歯科助手の仕事を後輩に指導しています。

リハビリから歯科への方向転換

入社のきっかけは、患者として地元のわく歯科を訪れたときに、私が言語聴覚士だと知っていた院長に「言語聴覚士の求人の出し方を教えて」と相談されたことです。その頃は、人間関係に悩んで、前職の病院を離れようと決めた時期でもありました。

院長は、矯正装置の力で矯正するのではなく、口周りの筋機能低下の原因にアプローチしようと言語聴覚士を探していました。アットホームな歯科医院だなと思っていたので「歯科で働いた経験がなくても大丈夫ですか?」とさらっと聞いてみたら、とんとん拍子で私自身が入社することになりました。

学生時代に思い描いていた将来像は、脳梗塞や脳出血患者のリハビリをすることでした。自分で選んだ歯科医院での仕事とはいえ、初めの1、2年は「このままでいいのかな」と葛藤もありました。でも、わく歯科の雰囲気や人間関係、私を大事にしてくれている環境を考えると「ここでやっていきたい」という気持ちが強かったんです。それなら「自分の担当業務を楽しく、より良くしよう」と考え方を切り替えました。

ただ、歯科の知識や経験はゼロなので、不安が大きかったのも事実です。まずは任された仕事に集中し、いろいろ経験しながら自分で工夫を重ねました。歯科と言語聴覚士の知識が繋がることを実感するようになり、だんだんと自信を持てるようになりました。現在は入社して7年目ですが、トレーニングの効果が患者さんに表れると、私もうれしくなります。

周りの人も仕事も大事にしながら楽しく働く

言語聴覚士としての知識がまだまだ浅いので、学会やセミナーに参加しながらこれからも専門性を高めていきたい。そして、患者さん一人ひとりに満足して帰っていただけるよう歯科の知識もしっかりつけたいです。

子どものとき「働いている大人はあまり楽しそうじゃない」と感じていたので、楽しく働くためにも、自分の気持ちを一番に考えて進路を選びました。仕事は人生の大部分を占めるので「仕事が大事、仕事が好き」と言えるくらい頑張りたいです。

最初の病院を辞めたとき、自分は人との関わりや環境を大事にするタイプなんだと気づきました。わく歯科で先輩たちから教わったたくさんのことを、後輩にきちんと伝え、周りの人を大切にできる働き方をしていきたいですね。

あなたにとって働くとは?

楽しいこと。自分のやりたいことに出合えること。人との繋がりを大事にすること。

Top