みんなで新たに理念を作り上げて浸透
―事業の目的は?
コンピュータ技研の理念は、世界に「0」をONする会社。これには、まだ見つけられていないもの「0」を見つけ、価値を提供したいという想いが込められています。理念を実現することや、社員の成長と幸せ、社会に貢献することが事業の目的です。
実は、昔からあった理念は解釈がバラバラで伝えにくいものでした。そこで、2019年に有志で理念を見直し、魅力や大切にしていることを何度も話し合い、一年くらいかけて新たに理念を作り上げました。何を目指すのか、何をしたいのか。皆で時間をかけて作ったプロセスとその結論はとても貴重。その後の、理念の浸透につながっていると思います。
「0」をONするには、革新的な商品・サービスを生み出す企業でなくてはなりません。このため会社は、社員が自分らしく、チャレンジできる実験の場でありたいと考えています。失敗してもいい。そんな企業文化を育て、人が繋がりながら、自己実現できるチームにしたいと考えています。
私たちは、お客様個々の目的や課題について一緒に検討し、業務効率化と自動化(RPA)を推進するソフトウェア事業や、ITインフラ基盤を構築するシステムインテグレーション事業、コーポレートITシステムの導入から維持・運用までを支援するERPシステムソリューション事業など、さまざまな事業を手掛けていますが、特定事業にこだわりはありません。売上、利益の成長を目指すと、主力の既存事業にこだわることになり、長期的にみると成長につながりません。真の成長には、変容することが必要ですし、変容することでいったん沈むこともあると考えています。
常に変化する世の中で、お客様が必要なことを的確に捉え、最適な提案をし、深い関係を築く。これによって社会に貢献することと、個性を活かし合う社会の実現を目指しています。長期的視野に立ち、これらを続けていれば、企業成長にもつながっていくと信じています。
自分の強みと周りの強みを組み合わせて価値を提供する
―目的を果たすための方法は?
社員一人ひとりが強みを持つこと。その前段階として、強みを見つけ、認めることが重要になります。このため、社員の強みを一緒に探求する取り組みに力を入れています。例えば、強みを見つけるアセスメント。強みを言語化して個性を見える化し、互いにそれを尊重する風土をつくっています。この活動は強制ではありませんが、社員の8割くらいが参加しており、それぞれが自分らしさや強みを発見しています。
また、人事評価制度にも工夫があります。画一的で一定の基準を設ける評価制度には、個人のキャリアや人生の可能性を狭めてしまうリスクがあります。そこで、新しい人事制度「オーナーシップ制度」をつくりました。会社の理念追求に対して自分ができる貢献や実現したいキャリアととことん向き合い、それを会社に説明し、「会社からの投資=給与」を自分自身で決める仕組みです。
やらされ仕事から脱皮し、言われたことだけをするのではなく、自分の強みと周りの強みを組み合わせて価値を提供する。そんな動きが増え、お客さまからも評価されるようになってきました。メンバーのその姿を見て、責任者も価格交渉に力を入れるようになり、売上と利益の双方が2018年頃から上昇し続けています。
就活プラットフォームで企業と若い人をつなぐ
―実現したいミライは?
若い人には、より自分に合った企業と出会い、仕事を通じて社会に貢献する楽しみを感じてほしい。そのためにはそれぞれの企業の仕事内容や文化、考え方、社員の育て方を知ることが重要です。地域の企業を知るきっかけづくりとして、若者と企業がコミュニケーションを通じてサステナブルなキャリア形成の可能性を探るためのプラットフォーム「atteyaa(アッテヤ)」をつくりました。
これは、コンピュータ技研と甲南大学「北居ゼミ」、ミライ企業プロジェクトによる実証実験としても取り組みました。中小企業と共に働く経験を通して、就活の大企業志向に変化が生まれるかを探るものでもあります。企業認知度や規模に関わらず、高い志を持ち社会に貢献する企業や、若い社員がチャレンジできる環境をつくっている企業は数多くあります。「見に行ったらいいところだった」という事例は多いのです。
コンピュータ技研も、そういう企業でありたいと考え、社員が活躍できる環境を常に模索しています。それが経営者としての私の仕事。結果を気にしないのが自身の強みと捉え、新たな取り組みにどんどん挑戦しています。
最近では、佐賀県にサテライトオフィスを新設しました。新しい環境をつくることで、そこから社員がやりたいことが生まれると期待し、ワーケーションで意識的に、違う環境を経験してもらっています。やりたいこと、自分の意見をどんどん言う、いい意味で「面倒くさい社員」が増えてきました。
部活動も幅が広がっています。釣りやサイクリングといったアウトドアの部活動ほか、漫才のネタ作りや実演などクリエイティブな活動を行う部活動もあります。この部活は、ソフト面を磨いていこう、という発想で生まれました。会社説明会で「業界説明漫才」をしてもらっているほか、単独ライブ、YouTubeチャンネル運営と幅広く活動し、M-1グランプリにも出場しています。部活動は余暇ではありますが、仕事にも良い影響が多く出ています。目指していることを体現するようになり、社員のコミット度合いが高まっていると感じています。
事業は老舗感あるIT企業な一方で、中身は開発型かつ、先鋭的で先端的。みんなの「つよみ」を生かしたマネジメントで、みんなの個性が輝くチームです。松井社長はいつも笑顔で、仕事を楽しんでいる印象がとても強く、人を生かし、地域を生かし、新しい事業や魅力を発信し、ミライをつくるイノベーティブな会社です。
当社が実施している広報セミナーについて話したところ、松井さんも「社内外の広報を両輪でまわすことで中小企業の成長の循環が生まれる」という同じテーマで企業研究をしていたので、意気投合しました。ITと広報、異なる専門性を活かして協働し、多様な働き方を広げ、地方を元気にする「たくらみ」を一緒に進めています。