社員・お客様と創る循環型社会と製紙業のミライ

山陽製紙株式会社

2024年に67期を迎えた山陽製紙株式会社(泉南市)。自然との共生を考えて紙の開発や製造に注力し、社員の事業や環境に対する意識も高めている。「社員の成長とお客様の満足、循環型社会に貢献したい」と語る、原田六次郎社長の目指すミライについて聞いた。

社長原田 六次郎さん

環境に負荷をかける産業だからこそ、環境に配慮する企業へ

――事業の目的は?

当社はセメント袋や電線や鉄の包装に用いる工業用のクレープ紙を半世紀以上に渡り製造してきました。2007年に設立50周年を迎えた当時は事業環境が思わしくなく、このままでは100周年は迎えられないかもしれないと事業目的を見直し、経営理念を刷新。1997年に採択された京都議定書の影響で、環境に対する意識が上がり始めた頃でした。

製紙というのは、水と電気とガスを大量に使うため、環境へ負荷がかかる産業ですが、古紙メーカーとして、環境に配慮した製紙会社になろうと新商品開発に着手しました。当初は古紙を原料にした再生紙は品質が悪いと思われていたことから、なかなか賛同されませんでした。しかし21世紀になって環境問題が声高に叫ばれ、再生紙が見直されるように。特に2015年に国連でSDGsが採択されてからは、その傾向が強まってきました。

環境に配慮するという方針が揺らがなかったのは、後がないという危機感からです。クレープ紙というメインの商品がまだ元気なうちに、商品開発をしていかないといけない。諦めたらそこで終わり。経営理念を刷新してからは、社員も「自分たちは紙創りで社会に貢献している」という意識と誇りを持って仕事に向き合うようになってきたと思います。

今後もサステナブルな紙を製造していきたい。持続可能な会社を目指し、新たな柱を作っていこうと取り組んでいます。

4つの新ブランドと社員の意識の変化

――目的を果たすための方法は?

現在でも工業用のクレープ紙を事業の柱としていますが、新たなブランドに徐々にシフトしつつあります。ブランドを4つ立ち上げ、中でも一番力を入れているのは「PELP!(ペルプ:PAPER HELP PROJECT)」です。段ボールや新聞紙は約90%のリサイクル率ですが、それらと比較してオフィスから出るコピー用紙などのオフィス古紙はまだまだリサイクル率が低いのが現状です。まずは「紙を助けていこう」と会員を募ってコピー用紙を集め、封筒や名刺などに再生して使うサービスを始めました。現在の会員数は約1,600社で、近い将来は1万社くらいになればと思っています。

ほかに、廃棄物を炭化させたものを再生紙に抄き込んだ「SUMIDECO(スミデコ)」があります。商品化のきっかけは、南高梅の種を捨てずに再利用するため、種を備長炭の釜で焼いてできる「梅炭」を紙に抄き込んでもらえないかという依頼でした。「SUMIDECO」には消臭機能や調湿機能などがあり、消臭紙として開発を進めています。

「crep(クレプ)」は、工業用クレープ紙をアップサイクルした商品です。電線や鉄を包む丈夫なクレープを製造する際は、何百メートル単位で端材が出ます。もともとは廃棄していた端材に柄を印刷してラグを製作したところ、非常に軽くて、水をはじいて丈夫なので、人気商品に。デザイナーの力も借りながらラグやマットなどを開発しています。

もう一つ、力を入れているのがオーダーメイド再生紙です。小ロット生産を得意としているので、大手企業からの依頼も含め、コーヒーかすや、花、端切れなどいろいろな廃棄物を紙に抄き込んでほしいという要望にもお応えしています。

そして、社員の意識の変化も実感しています。「循環型社会のことを勉強しようや」と、従業員が「eco検定試験」を受け、社内の90%以上が合格しています。さらに「サステナブル経営/CSR検定」にもチャレンジし、社員の半分以上が3級に合格。2級に合格した社員もいるなど、環境についての意識が高まっています。

環境問題に限らず「社会課題解決へのチャレンジだ」という雰囲気が生まれ、向かう方向性がしっかり見えてきたと思います。これまでの取り組みや経営理念に共感して入社する人材も増えてきました。再生可能エネルギーへの切り替えや、少しでも水をきれいにしたいと排水処理設備に投資をした際も、社員に背中を押してもらうことで、実行に移せました。経営者として、社員の力を本当にありがたいと感じています。

究極の紙創りを若い人たちへ託す

――実現したいミライは?

製紙業は静岡と愛媛が二大産地で、全国に中小企業が散らばっているため、紙の輸送によってCO2を排出してしまうことに。大阪で出た古紙は大阪で再生して大阪で使うというように、地域循環するしくみを作りたいと考えています。他の製紙会社とネットワークを作りながらサステナブルな提供体制を目指して進めているところです。

社員には、経営理念を元に判断することができるようになってもらいたいですね。それぞれが誰にも負けない能力を持っているのだから、自分の力を信じて強いところを伸ばしてほしいし、会社としても伸ばしたいと思っています。社内には部署横断的な委員会活動があり、若い人たちがリーダーを務めています。仕事を離れても、役割を自分ごととして考えられる社員になってもらいたい、そして実際にそうなってくれていることをうれしく感じています。

70歳を超えた今、「循環型社会に貢献する」ための究極の紙創り、使い捨てではない希少価値のある紙を創ることを使命として、次の世代にバトンタッチすることを意識しています。若い力に、紙創りのミライを託したいですね。

学生とともに実現したいこと

学生のみなさんは、素晴らしい視点や専門分野を持っています。教育の現場では沢山の紙が使われています。その紙を再生して再利用するなど、紙の循環について一緒に考えたいと思います

Profile会社情報

会社名

山陽製紙株式会社

所在地

590-0526

大阪府泉南市男里6-4-25

電話番号

072-482-7201

スタッフ数

46名

事業内容

製袋用クレープ紙の製造および製袋関連資材の販売
包装用クレープ紙の製造および鉄鋼
電線用包装関連資材の販売
自社ブランド商品(SUMIDECOcrepPELP!)の企画/販売
電子部品用層間紙の製造および関連資材の販売
その他オーダーメイド再生紙の製造

Webサイト

Features企業のらしさ

  • 社会的理念力

    • 理念の明確性
    • 理念の浸透性
    • 社会(地域)貢献性
  • 自律協働型組織力

    • 人材育成
    • 関係性
    • 多様性
  • 持続的革新力

    • 独自性
    • 収益性
    • 顧客志向
    • 戦略性
    • 協働性
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