「人を大切にする」仕組みづくりを
――事業の目的は?
企業が一歩ずつ成長し、より良い方向に前進していくようにサポートするのが私たちの仕事です。労働に関する法律の改正は頻繁に行われますが、リソースが限られている中小企業がすべてに対応しようとするとマイナスを生んでしまうこともあります。そのため優先順位やタイミングを見計らって提案することで、会社が主業務に注力できるようにしています。
根本的には、企業で働いている人たちの人権が守られるような仕組みづくりをサポートしています。「人権」というと堅苦しい印象を持たれるかもしれませんが、肝心なのは「人を大切にする」ことです。企業がそれを理念として掲げるだけでなく、どんな状況でも組織内で機能し、守られるような体制を構築するために、私たちは社会保険や労働関連の法や制度の専門家としてアドバイスや支援をしています。

具体的には、育児休業への対応、有給休暇の取得方法、時間外勤務の考え方、労災などについての相談が多いです。その会社の事情を詳しく知ったうえで、場合によっては、人事制度や給与制度の変更、就業規則の作成に携わります。込み入った内容であれば対面でやりとりしますが、ちょっとした相談ならば、クラウドツールでやり取りすることが多いです。
主体はあくまでも会社や事業
――目的を果たすための方法は?
それぞれの企業が実現したいことに適切に対応できる可能性を高めるために、いろんな引き出しを用意することです。制度変更や法改正も多いので、新しい取り組みを行う際は、法律上求められている強制力の度合いやその会社の成熟度などを総合的に考慮したうえで、“ちょうどいい頃合い”を見計らって提案するようにしています。
社員のスキルアップを図るため、そして働き方の急速な変化にキャッチアップするために、理念の浸透、人材育成、収益化の仕組みづくり、新市場開拓のやり方など、相談される可能性があるテーマについて学べるオンライン講座を視聴する機会を提供しています。
ただし、私たちがクライアント企業に深くコミットすればするほど、業務の効率化やコスト削減など、経営判断に関わる場面にも出てきます。主体はあくまで企業なので、「先生として指南する」という立場をとろうとは思っていません。企業が今できていないことをやっていこうというきっかけづくりが私たちの役割だと認識しています。
私たちは理念や方向性を明文化しているわけではありませんが、「働いている人がきちんとした社会生活を送っていけるように」企業の成長に不可欠な、社員が成長できる環境をつくることで、経営者をサポートしたいと考えています。“法や制度の専門家”という立ち位置で企業に関わる私たちの仕事は、企業としての成長や存続があってこそ成り立つもの。ですから、その会社が置かれている状況を考慮せずに、「法律で決まっているのでやらなければいけません」と押し付けるべきではありません。あくまでも会社や事業が主体であることは忘れてはいけないと思っています。
経営者の夢の実現をサポートしたい
――実現したいミライは?
社員を大切にし、幸せにしたいと本気で考えている経営者の夢の実現をサポートしたいと考えています。
コロナ禍により、テレワークや副業が世の中に浸透しつつあります。業務の生産性を高めて、柔軟な働き方を実現するために、働く人の意思を尊重してそれらを導入するのであればいいのですが、単にコストを削減するための隠れ蓑になるケースもあります。本来、従業員の働きがいの向上などは企業自身が取り組むべき課題だと思いますが、働き方改革により雇用が流動化している時代背景を考えると、今後私たちもそこに関わっていきたいと感じています。

中小企業では、人材のスキルや特性と業務内容がマッチしていないケースをよく見かけます。役割分担がうまくいかず、適任者がいないために誰かが引き受けざるを得ないのでしょう。小さな企業でも、一人が多種多様な業務を抱え込まず、仕事を切り分けて、複数の人で分担することが効果的なケースもあります。その場合、切り分けた業務を得意とする社外の人材も紹介してつなげられればと思っています。ミライ企業は、業種や分野を超えた横のつながりがあるので、それが実現できるのではと期待しています。
いつもメチャクチャ気さくに話してくださる植田さん。植田さんが経営者、社員、俯瞰した第三者的立場に立ってアドバイスしてくださるおかげで、現在の状況や取り組むべき課題が不思議と整理されるんです。『そうは言うても、なかなか難しいのやけどね(笑)』の一言に、いつもメチャクチャ癒やされています(笑)。
法や制度に沿って進めるため、社労士の仕事の進め方は杓子定規だという先入観がありましたが、植田さんと話をすると、柔軟性を大事にしており、その先入観が崩れました。「人材は社内で完結しなくもいい、その業務を得意とする社外の人材をつなぎたい」という植田さんの言葉に、働く環境の変化を感じました。